不法投棄の現状について
全国の産業廃棄物の不法投棄等の状況を、環境省が定期的に発表【産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和元年度)について:令和3年1月8日】しています。最近の報告では、『不法投棄の新規判明件数は、ピーク時の平成10年代前半に比べて、大幅に減少している(略)。
一方で、令和元年度で年間151件、総量7.6万トン(5,000トン以上の大規模事案2件、計4.2万トン含む。)もの悪質な不法投棄が新規に発覚し、いまだ跡を絶たない状況にあ』るとまとめています。各都道府県や市町村においても、その地域の現状について、ホームページで公表しています。
ごみの不法投棄の法律、罰則について
産業廃棄物だけでなく、ごみを不法投棄することは、地域や自然環境を壊し、水質汚濁や土壌汚染などの被害を環境に与えると言われています。
ごみの不法投棄については、前述しましたが、環境省以外に、各都道府県や市町村のホームページで、地域の現状や、違法性、対策についてまとめており警鐘を鳴らしています。そのなかには、法律や罰則規定についても詳しく掲載されています。
例えば、廃棄物処理法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」とあり、不法投棄が禁止されており、違反した場合には5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科、さらに法人等に対して3億円以下の罰金といった厳しい罰則があります。企業などからでる産業廃棄物だけでなく、個人が出すごみについても不法投棄に対しての罰則規定があります。
野外焼却の法律、罰則について
「投棄が駄目なら燃やしたら良いのではないか」と、野外焼却を考えたりしますが、この行為も例外を除いて禁止されており、罰則規定があります。
野外焼却についても、法律や施行令関係法令【例えば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知(平成12年9月28日付け衛環第78号) 】などで罰則規定があったり、発見者を通報できる仕組みがあります。
野外焼却は、平成13年4月からごみの野外焼却が原則禁止されています。野外焼却では、次のいずれかに該当する場合を除いて、廃棄物の焼却が禁止されています。1.法に定められた処理基準に従って行う廃棄物の焼却、2.他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却、3.公益上もしくは社会の慣習上やむを得ない焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるものと例外規定があります。
例えば、農業者が行う稲わらの焼却や、林業者が行う伐採した枝の焼却、漁業者が行う魚網に付着した海産物の焼却など、農林漁業を営むためにやむを得ず行う焼却は、禁止の例外とされています。
しかし、そのなかでもプラスチック製は産業廃棄物になるため、何でもかんでも野外焼却はできないことになっています。野外焼却についても、不法投棄と同じように罰則規定があり、違反した場合には、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科、さらには法人等に対して3億円以下の罰金といった厳しい罰則があります。実行するだけの罰則だけでなく、未遂行為も同じ罰則対象となっており、大変厳しくなっています。
前述しましたが、不法投棄や野外焼却行為は、警察や県市町村のごみや廃棄物対策関係課などに通報や情報提供できる体制を設けており、24時間受付しています。通報先の電話・FAX番号の局番を、5374(ゴミナシ)など、わかりやすく・覚えやすいゴロで番号を設置しているところもあります。
私たちが不法投棄をしないための方法
私たちが不法投棄をしないための方法を、4つ取り上げます。
不法投棄事業者を選ばない
私たちが不法投棄をしないための方法として、不法投棄事業者を選ばない方法があります。郵便受けに入っているチラシやインターネットで宣伝、空き地で回収などを行っている事業者があります。それらのなかには、廃棄物処分の無許可の事業者である可能性もあります。
家庭の廃棄物を回収するには、市町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要で、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できません。産業廃棄物処理業許可は、工場や企業の廃棄物を処理するための許可であることを知っておく必要があります。自分が気づかずにいつの間にか犯罪行為に加担してしまう可能性があります。
自分の住んでいる市町村のごみ処分担当課に聞いてみる
自分の住んでいる市町村のごみ処分や廃棄物対策関係の担当課に問い合わせをすると処分方法を教えてくれます。各市町村でごみ処分方法が異なります。わからなければ、まずはごみ処分や廃棄物対策関係の担当課に確認してみるのが良いと思います。
買い取り業者に聞いてみる
中古品販売店(リユースショップ、リサイクルショップ)では、比較的、新しい製品であれば買い取ってくれます。買い取れない物品であっても、引き取ってくれたり、処分方法を教えてくれる場合があります。
業者によっては、訪問して回収・引き取りしてくれる所もあり、直接持ち込みしなくても良い場合もあります。また、遺品整理・処分を行っている所もあります。ごみや廃棄物の処分については、その地域事情に詳しいので、問い合わせしてみるのも良いと思います。
社会福祉協議会に聞いてみる
市町村の社会福祉協議会に聞いてみるのも良いと思います。地域の地区ごとに住民たちで社会福祉協議会を設置しているところもありますが、それよりは、その住民たちの団体を統括している市町村の社会福祉協議会に聞いてみるのが良いと思います。
都道府県の社会福祉協議会もありますが、市町村ごとにごみ処分・回収方法が異なるため、市町村の社会福祉協議会に問い合わせるのが良いと思います。
社会福祉協議会とは、地域の福祉を推進していくことを目的にした地域の団体です。活動では、高齢者への支援を多く行っているところがあります。その活動のなかには、施設入居や居住者が亡くなるなどで、居住者がいなくなった場合の家財等の処分に、社会福祉協議会が関わっている場合があります。そのため、その地域のごみや廃棄物処分の方法についても情報を把握している場合があると思います。近年、社会福祉協議会では、地域にある社会福祉法人と協力し、より地域への支援体制を強化している状況があります。
もし、情報把握をしていなくても、困り事の相談に応じ、対応してくれる体制がありますので、一度、相談してみるのも良いと思います。
以上、4点ですが、他にも方法があるかもしれません。困った場合は、上記に取り上げたところに問い合わせしてみることをおすすめします。不法投棄をしないために、また自分の生活や、地域・自然環境を守るためにも、私たちにできることがあります。